平方根の問題で、図形や文章題のやつがさっぱり分かりません…
んー、たしかに複雑なところだよね
それじゃぁ、今回は平方根の利用問題について授業をしていこう!
というわけで、今回の記事では平方根の利用問題について解説していきます。
平方根の利用問題とは…
ルートが自然数となるようにするためには、何を掛ければよいか?
直径20㎝の丸太から、できるだけ大きな正方形を作るにはどうする?
1辺の長さが\(\sqrt{2}\)となるような正方形を作図しなさい。
などなど
平方根の性質を利用して、さまざまな場面で問題を解いていこうというものです。
では、それぞれのパターンについて問題の解き方を解説していきます。
【平方根の利用】自然数となるような\(n\)の値①
\(\sqrt{24n}\)が自然数となるような、もっとも小さい自然数 \(n\) の値を求めなさい。
この問題を解くために大事なのは
$$\sqrt{3^2}=3$$
というように、2乗が作れたらルートが取れるってことだね!
ルートの中身が2乗の形で表すことができれば、ルートをなくすことができます。
つまり、\(\sqrt{24n}\)の中身である\(24n\)が2乗の形で表せれば、ルートがなくなり自然数になるということです。
24を素因数分解すると
$$24=2^3\times 3$$
このように表すことができます。
よって
$$\begin{eqnarray}\sqrt{24n}&=&\sqrt{2^3\times 3\times n}\\&=&\sqrt{2^2\times 2\times 3\times n}\\&=&2\sqrt{2\times 3\times n}\end{eqnarray}$$
このような形に変形することができます。
ルートをなくして自然数の形にするためには、2と3が1つずつ足りないですね。
だったら、2と3を1つずつ加えてやればいいじゃないか!
ということで、\(n\)として2と3を1つずつ
つまり、6を掛けてやれば全部が2乗になり自然数の形にすることができると分かります。
$$\begin{eqnarray}2\sqrt{2\times 3\times \color{red}{2\times 3}}&=&2\sqrt{2^2\times 3^2}\\&=&2\times 2\times 3\\&=&12 \end{eqnarray}$$
以上より、答えは \(n=6\) となります。
ちょっと考え方をまとめておきましょう。
ルートをなくして自然数にするためには、ルートの中身が2乗の形になる必要がある。
次に、数字の部分を素因数分解して2乗になれていない数を見つける。
2乗になれなかった数を補うために、\(n\)がどんな数であればよいかを考える。
以上!
なるほどね!
全部が仲良く2乗になれるよう、ぼっちな数をペアにしてあげるってことだね。
そ、そうだね
(ぼっち…)
【練習問題】
\(\sqrt{18n}\)が自然数となるような、もっとも小さい自然数 \(n\) の値を求めなさい。
【平方根の利用】自然数となるような\(n\)の値②
\(\sqrt{15-a}\) の値が自然数となるような自然数 \(a\) の値を求めなさい。
さっきと同じで、ルートの中身が2乗の形になればOK!
ってことを考えていこう。
ルートの中身が
$$\sqrt{1}=\sqrt{1^2}=1$$
$$\sqrt{4}=\sqrt{2^2}=2$$
$$\sqrt{9}=\sqrt{3^2}=3$$
のように、2乗の形で表される値になればルートをなくして自然数にすることができます。
では、\(15-a\) を計算してこれらの数にするためには \(a\) の値をどうすればよいのか考えていきましょう。
まずは、\(15-a=1\) になる場合
$$\begin{eqnarray}15-a&=&1\\-a&=&1-15\\-a&=&-14\\a&=&14 \end{eqnarray}$$
\(15-a=4\) になる場合
$$\begin{eqnarray}15-a&=&4\\-a&=&4-15\\-a&=&-11\\a&=&11 \end{eqnarray}$$
\(15-a=9\) になる場合
$$\begin{eqnarray}15-a&=&9\\-a&=&9-15\\-a&=&-6\\a&=&6 \end{eqnarray}$$
\(15-a=16\) になる場合
$$\begin{eqnarray}15-a&=&16\\-a&=&16-15\\-a&=&1\\a&=&-1 \end{eqnarray}$$
おっと…\(a\) の値がマイナスになってしまったので、これ以上はなさそうですね。
ということで、\(15-a\) を計算して2乗の形にしたい場合
$$a=14, 11, 6$$
が答えとなります。
このように、ルートの中身が1,4,9,16…といった2乗で表すことができる数になるためにはどうすればよいのかを順々に考えていきましょう。
ルートの中身が足し算や引き算になっているときには、こうやって順に代入しながら数を見つけていくんだね。
ちょいメンドイけど、了解したぞ★
そ、そうだね
(メンドイて…)
【練習問題】
\(\sqrt{20-a}\) の値が自然数となるような自然数 \(a\) の値を求めなさい。
【平方根の利用】正方形の1辺の長さ
1目盛1㎝の方眼用紙に、1辺\(\sqrt{2}\)cm、\(\sqrt{5}\)cmの正方形をそれぞれ作図しなさい。
ルートなんて…
どうやって作図すんの!?
まじわからんし
たしかにね…
\(\sqrt{2}=1.4142\cdots\)
というように、ルートは無限に続いていく小数の値です。
そんなものをどうやって図示すればいいんだ!
と、叫びたくなる気持ちも分かりますが
正方形と平方根の考え方を利用すれば、簡単に作図することができます。
正方形の面積って、次のような関係が成り立ちます。
$$(正方形の面積)=(一辺)\times (一辺)$$
$$(正方形の面積)=(一辺)^2$$
$$(一辺)=(面積の正の平方根)$$
つまり、\(\sqrt{2}\)㎝を作図したいのであれば、面積が2㎠の正方形を作図すればよいということになります。
というわけで、結論から言うと
このように正方形を作れば、面積が2㎠となっており1辺の長さを\(\sqrt{2}\)㎝とすることができます。
\(\sqrt{2}\)は、1マスの対角線を作れば完成だね!
次に、\(\sqrt{5}\)㎝を考えてみましょう。
面積\(5\)㎠となる正方形を作図すればよいので、次のようになります。
\(\sqrt{5}\)は、2マスの対角線を作れば完成だね!
【平方根の利用】丸太から正方形を作る
直径20cmの丸太から、切り口ができるだけ大きな正方形を作ります。このとき、切り口の正方形の1辺の長さはどれくらいになるか求めなさい。
イメージ図を書いて考えてみよう!
直径20㎝の丸太から、できるだけ大きな正方形を作ろうとすると、このように対角線の長さが20㎝の正方形ができあがります。
正方形は、ひし形でもあるので
$$(対角線)\times (対角線)\times \frac{1}{2}$$
このように面積を求めることができます。
よって、正方形の面積は
$$正方形の面積=20\times 20\times \frac{1}{2}=200(㎠)$$
となります。
正方形の1辺の長さは、面積の平方根によって求めることができるので
200の正の平方根が1辺の長さとなります。
$$200の正の平方根=\sqrt{200}=10\sqrt{2}cm$$
よって、1辺の長さは\(10\sqrt{2}\)㎝が答えとなります。
【平方根の利用】まとめ!
いろんな問題があって大変…
だけど、やり方は理解したから練習あるのみだね
その通り!
たくさん練習して理解を深めていこう!
平方根の利用では
2乗の形になれば、ルートがなくなる。
正方形の1辺の長さは、面積の平方根になっている。
という点が大切なポイントでしたね。
これを頭に入れておいて、いろんな問題に挑戦していきましょう^^